
「親のために部屋を探し始めたら、思った以上に決まらない」——そんな経験をされたご家族は、少なくありません。
保証人もいて、年金や貯金にも問題がないのに、年齢を理由に入居を断られてしまう。高齢の親のアパート探しでは、こうした“借りにくさ”の壁にぶつかることがあります。けれども、あきらめる必要はありません。
2025年10月には、高齢者などが賃貸住宅に入りやすくするための新しい仕組みもスタートしました。この記事では、なぜ高齢の親はアパートを借りにくいのか、その背景と、2025年の新制度、そして家族ができる具体的な解決策・物件の選び方を、やさしく整理します。
なぜ高齢の親はアパートを借りにくいの?
高齢の方が一般の賃貸住宅を借りにくいのは、本人の問題というより、貸す側(大家)の不安が大きく関係しています。主な理由は次のとおりです。
借りにくさの主な理由
- 大家の不安:室内での事故や孤独死などへの心配。高齢者の入居をためらう理由として最も多く挙げられます。
- 保証人・身元引受人の確保が難しい:親族に頼める人が見つかりにくいことがあります。
- 健康面・経済面への懸念:家賃の支払いが続くかどうかを不安視されることがあります。
つまり、「お金がない」「身元がはっきりしない」といったことよりも、“もしものとき”への大家さんの不安が壁になっているケースが多いのです。だからこそ、その不安を和らげる仕組みや物件を選ぶことが、解決の近道になります。
2025年10月、新しい仕組みが始まりました
2025年10月1日、改正された「住宅セーフティネット法」が施行されました。これは、高齢者などが安心して賃貸住宅に入居でき、大家さんも安心して貸せる環境をつくるための法律です。家族にとって特に知っておきたいポイントをご紹介します。
知っておきたい新しい仕組み
- 見守り付きの「居住サポート住宅」:センサーによる安否確認や、支援団体の訪問・見守り、福祉サービスへのつなぎがセットになった住宅。大家さんの「もしものとき」の不安を和らげます。
- 家賃保証が受けやすく:国が認定した家賃債務保証業者は、こうした住宅の入居者の保証を原則として引き受けます。緊急連絡先を、親族などの個人でなく法人にすることも認められます。
- 居住支援法人のサポート:全国に多数ある支援団体が、物件探しの相談から入居後の見守り・生活支援まで手伝ってくれます。
「保証人が見つからない」「一人暮らしの親が心配」という家族の悩みに、社会全体で応えようという流れができつつあります。こうした制度は、お住まいの自治体の窓口や居住支援法人で詳しく案内してもらえます。
親が借りやすくなる5つの選択肢
「一般の賃貸が難しいなら、もう選択肢がない」わけではありません。次のような選び方を知っておくと、ぐっと探しやすくなります。
① 一般の賃貸+保証会社・緊急連絡先で備える
子どもや親族を連帯保証人・緊急連絡先として明確にし、家賃債務保証会社を利用すると、大家さんの不安が和らぎ審査に通りやすくなります。「何かあったときに連絡できる人がいる」と示すことが大切です。
② シニア向け・「高齢者相談可」の物件
はじめから高齢者の入居を想定した物件なら、年齢を理由に断られる心配が少なく、バリアフリーが整っていることも多いです。「シニア相談可」「高齢者歓迎」といった条件で探してみましょう。
③ サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
バリアフリー構造に加え、安否確認や生活相談のサービスが付いた賃貸住宅です。介護が必要になっても暮らしやすい設計で、一人暮らしの親にも安心感があります。
④ 終身建物賃貸借の物件
原則60歳以上が対象で、亡くなるまで安心して住み続けられる仕組みです。高齢を理由に退去を求められる心配がなく、契約は一代限りで相続が発生しないのも特徴です。
⑤ セーフティネット住宅・居住サポート住宅
高齢者などの入居を断らないと登録された住宅で、「セーフティネット住宅情報提供システム」などで探せます。見守り付きの居住サポート住宅も、この枠組みの中で広がりつつあります。
アパートを選ぶときのチェックポイントと相談先
物件を選ぶときは、入居できるかどうかだけでなく、入居後に親が安心して暮らせるかも大切です。次の点を、できれば実際に住む親と一緒に確認しましょう。
選ぶときの3つのポイント
- バリアフリー:室内に段差がない・手すりがある、共用部にスロープやエレベーターがあるか。2階以上ならエレベーターは必須に近いです。できればワンフロアで生活が完結する間取りを。
- 立地:スーパーや病院が近い、公共交通が使いやすい、子の家から通いやすい(近居)か。
- 無理のない家賃:年金や貯蓄で、長く払い続けられる金額か。初期費用も含めて確認を。
「どこから手をつければ…」と迷ったら、まずは市区町村の住宅担当窓口や居住支援法人、地域包括支援センターに相談してみてください。地域の制度や物件、支援サービスを踏まえて、親に合った住まい探しを手伝ってくれます。家族だけで抱え込まず、こうした窓口を上手に頼りましょう。
この記事のまとめ
- 高齢の親が借りにくいのは、“もしものとき”への大家の不安や保証人の問題が主な背景。
- 2025年10月施行の改正住宅セーフティネット法で、見守り付き住宅や家賃保証の仕組みが拡充された。
- 一般賃貸+保証会社、シニア向け、サ高住、終身建物賃貸借、セーフティネット住宅など選択肢は複数ある。
- バリアフリー・立地・家賃を確認し、迷ったら自治体窓口や居住支援法人、地域包括支援センターへ。
※本記事は2026年6月時点の情報をもとに作成しています。制度の内容や対象、補助、必要書類などは変わる場合があり、利用できる制度や物件は地域によって異なります。具体的な手続きやご家庭の状況については、お住まいの自治体の窓口や居住支援法人などにご確認ください。
📋 参考・参照情報
- 【政府広報オンライン】 改正「住宅セーフティネット法」がスタート(2025年10月1日施行・居住サポート住宅・認定家賃債務保証業者・居住支援法人)
- 【国土交通省】 高齢者向け住宅等(高齢者住まい法・サービス付き高齢者向け住宅の登録制度/国交省・厚労省共同所管)
- 【国土交通省】 終身建物賃貸借(原則60歳以上・死亡時終了で相続されない一代限りの契約・2025年10月の手続き簡素化)
- 【政府広報オンライン】 終身建物賃貸借 賃借人の死亡により終了し、相続されない賃貸借(入居要件・住宅基準)
※掲載情報は執筆時点のものです。制度の内容・対象・補助・必要書類は変わる場合があり、利用できる制度や物件は地域によって異なります。最新情報は各機関の公式サイトや、お住まいの自治体の窓口でご確認ください。