働きながら介護する人へ。介護離職を防ぐために使える制度(介護休業・介護休暇)まとめ

働きながら介護する人へ。介護離職を防ぐために使える制度

「仕事は続けたい。でも、親の介護も放っておけない」——そんな板挟みに、いま静かに悩んでいる方は少なくありません。

働きながら家族を介護する人は「ビジネスケアラー」と呼ばれ、その数はこれからますます増えていくと見られています。多くの方が、制度を知らないまま無理を重ね、最後に「介護離職」を選んでしまいます。けれど、仕事と介護を両立するための制度は、法律でいくつも用意されています。

この記事では、介護休業・介護休暇をはじめとした両立支援制度を、比較表つきでまとめて整理します。「何が・どれくらい・どんなときに使えるのか」を知っておくことが、離職を防ぐ第一歩です。

そもそも「介護離職」はなぜ起きる?

介護離職の多くは、「制度を知らなかった」「相談できる相手がいなかった」ことが背景にあります。一人で抱え込み、限界が来てから退職を決めてしまうのです。

⚠ 離職を急がないでください

いったん仕事を辞めると、収入が途絶えるだけでなく、再就職のハードルや将来の年金にも影響します。介護はいつまで続くか読めません。「辞める」を考える前に、まず使える制度を確認する——これが何より大切です。

仕事と介護を両立する制度は、大きく5つ

仕事と介護を両立する制度は、大きく5つ

育児・介護休業法では、働きながら介護する人を支える制度が定められています。まずは全体像を表で押さえましょう。

制度 どんなときに 期間・回数 お金
介護休業 まとまって休み、介護の体制をつくる 対象家族1人につき通算93日まで・3回まで分割可 雇用保険から賃金の約67%(介護休業給付金)
介護休暇 通院の付き添いや手続きなど単発の用事 1人なら年5日/2人以上なら年10日(時間単位で取得可) 有給・無給は会社の規定による
所定外労働の制限 残業をなくして介護の時間を確保する 介護が続く間、繰り返し請求できる 通常勤務分は通常どおり支給
時間外労働の制限 残業の上限を設けて負担を抑える 1か月24時間・1年150時間まで 通常勤務分は通常どおり支給
短時間勤務等の措置 勤務時間を短くするなど働き方を調整 利用開始から3年の間に2回以上利用できる 短縮分の扱いは会社の規定による

※対象や日数の詳細は会社の就業規則や法令の改正で異なる場合があります。利用前に勤務先の人事・総務にご確認ください。

【制度①】介護休業 ― まとまった休みで「体制づくり」を

介護休業は、対象となる家族1人につき通算93日まで取得でき、3回まで分割して使えます。注意したいのは、これは「自分が付きっきりで介護するための休み」というより、介護の体制を整えるための準備期間として使うのが本来の趣旨だということです。

介護休業の使いどころ

  • ケアマネジャーを決め、介護サービスの利用計画をつくる
  • 施設を探して見学・契約する
  • 退院後の在宅介護の環境を整える

お金は「介護休業給付金」でカバー

休業中は給与が出ない会社が多いですが、一定の要件を満たせば雇用保険から介護休業給付金(賃金の約67%)を受け取れます。手続きは原則として勤務先を通じて行います。

申請のタイミング

介護休業は、原則として休業開始予定日の2週間前までに勤務先へ申し出ます。早めに人事・総務へ相談しておくとスムーズです。

【制度②】介護休暇 ― 日々の「ちょっとした用事」に

介護休暇は、通院の付き添いやケアマネとの面談、手続きなど、単発の短い用事に使える休暇です。対象家族が1人なら年5日、2人以上なら年10日まで取得できます。

時間単位での取得もできるため、「午前中だけ通院に付き添う」といった使い方が可能です。半日や1日休まなくて済むので、仕事への影響を抑えられます。

【制度③〜⑤】働き方そのものを調整する制度

働き方そのものを調整する制度

休みを取る以外に、日々の働き方を介護に合わせて調整する制度もあります。長く続く介護では、こちらのほうが現実的に効くこともあります。

  • 所定外労働の制限(残業の免除):請求すれば残業が免除され、介護が続く間は繰り返し利用できます。
  • 時間外労働の制限:残業の上限を1か月24時間・1年150時間までに抑えられます。
  • 短時間勤務等の措置:会社は短時間勤務・フレックス・始業終業時刻の調整・介護費用の助成などのいずれかを用意する必要があります。

あわせて、近年の法改正では、介護に直面した従業員への個別の情報提供やテレワークの導入など、会社側の取り組みも強化されてきています。自社にどんな制度があるかは、人事・総務に確認してみましょう。

制度を上手に使うための3つのポイント

制度を上手に使うための3つのポイント

① 早めに勤務先へ相談する

「迷惑をかけたくない」と一人で抱え込まず、早い段階で人事・総務や上司に状況を伝えましょう。制度は申し出て初めて使えます。

② 自分で介護を抱え込まない

介護休業は「自分が介護するための休み」ではなく「体制をつくるための休み」です。ケアマネジャーや介護サービスを上手に頼ることが、両立を長く続けるコツです。

③ 公的な相談窓口を活用する

お住まいの市区町村の地域包括支援センターでは、介護の相談に無料で乗ってもらえます。給付金や雇用の制度については、ハローワークでも確認できます。

この記事のまとめ

  • 働きながら介護する「ビジネスケアラー」を支える制度は法律で用意されている。
  • 介護休業(通算93日・3回分割・給付金約67%)は「体制づくり」のために使う。
  • 介護休暇(年5日/10日・時間単位可)は日々の単発の用事に。
  • 残業免除・短時間勤務など、働き方を調整する制度も活用できる。
  • 辞めると決める前に、まず勤務先と地域包括支援センターに相談を。

※本記事は2026年6月時点の情報をもとに作成しています。制度の内容・日数・給付の要件は法改正や勤務先の規定により異なる場合があります。具体的な手続きやご自身の状況については、勤務先の人事・総務、お住まいの自治体の窓口、ハローワークなどにご確認ください。

コメントを投稿

0 / 2000

コメント

読み込み中…