「障害福祉サービスを使いたいけれど、最初に何をすればいいの?」
そう感じて、少し不安になっていませんか。
家での入浴や排泄の介助が必要になったり、外出の付き添いが必要になったり、家族だけで支えるのが少し大変になってきたり。
そんなときに頼りになる制度のひとつが、障害福祉サービスです。
ただし、ここで大切なのは「使いたい」と思ったその日にすぐ利用できるとは限らないということです。
これは、制度が冷たいという意味ではありません。
本人に合った支援内容を決めるために、相談、申請、調査、計画作成、支給決定などの手順があるからです。
厚生労働省の「サービスの利用手続き」でも、相談・申請、本人の心身の状況や生活状況の確認、サービス等利用計画案の提出、支給決定、サービス利用へ進む流れが示されています。
なお、厚生労働省の同ページには旧制度上の表記が含まれますが、この記事では現在一般的に使われる「障害支援区分」という表現で統一します。
少し手続きが多く見えるかもしれませんが、でも大丈夫です。
ひとつずつ見ていけば、障害福祉サービスの申請の流れはちゃんと整理できます。

目次
- まず結論から
- 障害福祉サービスを利用できる人
- 障害福祉サービスの申請の流れ1:市区町村の窓口で相談する
- 障害福祉サービスの申請の流れ2:障害支援区分の認定を受ける
- 障害福祉サービスの申請の流れ3:サービス等利用計画案を作成する
- 障害福祉サービスの申請の流れ4:支給決定と受給者証の交付
- 障害福祉サービスの申請の流れ5:事業所と契約して利用開始する
- 障害福祉サービスの費用はどうなる?
- 緊急時に備えるなら、早めの相談が大切
- 障害福祉サービスの申請の流れで押さえたいポイント
- まとめ|障害福祉サービスの申請の流れは、まず相談から始めよう
- 参考URL
まず結論から
障害福祉サービスを利用したいときは、まず市区町村の障害福祉担当窓口に相談・申請します。
その後、利用したいサービスに応じて必要な確認や手続きが行われます。
介護給付にあたるサービスでは、障害支援区分の認定が関係する場合があります。
サービス等利用計画案を作成し、市区町村が支給決定を行ったあと、受給者証が交付されます。
その後、利用する事業所と契約して、サービス利用が始まります。
厚生労働省の情報では、「申請から利用開始まで全国一律で何日・何ヶ月」といった期間は確認できませんでした。
実際の期間は、利用したいサービス、障害支援区分の認定が必要かどうか、医師意見書や審査会の進み方、自治体の運用、事業所の空き状況によって変わります。
だからこそ、今すぐ使う予定がなくても、「少し困ってきた」「家族だけでは不安がある」と感じた段階で、早めに相談しておくことが大切です。
障害福祉サービスを利用できる人
障害福祉サービスは、障害のある人が日常生活や社会生活を送るうえで必要な支援を受けるための制度です。
厚生労働省の「障害福祉サービスについて」では、個々の障害のある人の障害程度や、社会活動、介護者、居住などの状況を踏まえて、個別に支給決定が行われると説明されています。
さらに、障害者総合支援法の対象疾病に該当する難病等の方も、申請後に必要と認められた場合、障害福祉サービス等を利用できます。
対象疾病は、厚生労働省の「障害者総合支援法の対象疾病(難病等)」で確認できます。
ここでよくある疑問が、「障害者手帳がないと申請できないの?」という点です。
今回確認した厚生労働省の情報で明確に案内されているのは、障害者総合支援法の対象疾病に該当する難病等の方についてです。
厚生労働省の令和7年4月1日適用の周知資料「障害者総合支援法の対象となる難病が追加されます」では、障害福祉サービス等の対象となる難病が369疾病から376疾病へ見直され、対象となる方は障害者手帳を持っていなくても、必要と認められた支援を受けられると案内されています。
ただし、対象疾病に該当するかどうか、どの証明書類が必要か、どのサービスを利用できるかは個別確認が必要です。
詳しくは、お住まいの市区町村の担当窓口に確認してください。
「うちは対象になるのかな」と迷ったら、自己判断で諦めず、市区町村の障害福祉担当窓口に相談することが大切です。

障害福祉サービスの申請の流れ1:市区町村の窓口で相談する
最初の一歩は、市区町村への相談・申請です。
窓口の名前は自治体によって異なります。障害福祉課、福祉課、障害者支援担当など、少しずつ呼び方が違います。
迷ったときは、役所の総合案内で「障害福祉サービスを利用したいです」と伝えれば大丈夫です。
申請時には、本人の状況、困っていること、使いたいサービスなどを伝えます。
本人が窓口に行くのが難しい場合は、家族や支援者が相談に同行できるか、代理で手続きできるかを自治体に確認しましょう。
申請時に必要な書類は、本人の状況、申請するサービス、自治体の運用によって異なります。
たとえば、障害者手帳、診断書、対象疾病に該当することがわかる証明書、本人確認書類などが必要になる場合がありますが、全国一律の持ち物としては断定できません。事前に市区町村の担当窓口へ確認してください。
難病等の方については、厚生労働省の周知資料で、対象疾病に罹患していることがわかる証明書や診断書などを持参して市区町村の担当窓口に申請するよう案内されています。
書類と聞くと、少し身構えてしまいますよね。
「診断書って必要?」「手帳は持っていく?」「何をコピーすればいい?」
こういう不安は、事前に電話で確認しておくだけでかなり減らせます。わからないまま一人で抱え込まなくて大丈夫です。
障害福祉サービスの申請の流れ2:障害支援区分の認定を受ける
サービスによっては、障害支援区分の認定が必要になります。特に介護給付にあたるサービスでは障害支援区分が関係する場合があります。
一方で、厚生労働省の令和7年4月1日適用の周知資料「障害者総合支援法の対象となる難病が追加されます」では、訓練系・就労系サービス等は障害支援区分の認定を受ける必要はないと示されています。
利用したいサービスで区分認定が必要かどうかは、市区町村の担当窓口に確認してください。
障害支援区分とは、障害福祉サービスのうち主に介護給付を利用する際にどの程度の支援が必要かを確認するための区分です。
厚生労働省の「サービスの利用手続き」では、介護給付では区分1から6の認定が行われ、区分6のほうが必要度が高いと説明されています。
なお、同ページには旧制度上の表記が含まれますが、この記事では現在一般的に使われる「障害支援区分」という表現で統一します。
認定では、市町村職員等による認定調査、医師の意見、市町村審査会での審査判定などが関係します。
認定調査では、本人の心身の状況や生活上の困りごと、日常生活でどのような支援が必要かなどが確認されます。
具体的な調査項目や判断の考え方については、厚生労働省の障害支援区分に関するページで、認定調査員マニュアルなどが公表されています。
ここで大切なのは、「調子のいい日だけ」を基準に話さないことです。
「今日はできたから大丈夫です」と言いたくなる気持ちは、とても自然です。遠慮してしまう方もいます。
でも、支援の必要性を正しく見てもらうためには、普段の困りごと、できる日とできない日の差、家族がどのくらい支えているかを具体的に伝えることが大切です。
本人がうまく説明しにくい場合は、家族や支援者が同席できるか、事前に自治体へ相談しておくと安心です。

障害福祉サービスの申請の流れ3:サービス等利用計画案を作成する
障害者総合支援法に基づくサービスを利用する際には、サービス等利用計画が必要です。
厚生労働省の「計画相談支援のしくみ」では、障害者総合支援法に基づくサービスの利用に当たって、相談支援事業者が作成する「サービス等利用計画」が必要であること、また平成27年4月より全例について計画が必要になったことが示されています。
サービス等利用計画案とは「どんな暮らしをしたいか」「どのサービスを、どのくらい使うか」「支援を受けながら何を目指すか」を整理する計画です。
ここで頼りになるのが、相談支援専門員です。
相談支援専門員は、本人や家族の話を聞きながら、必要なサービスや利用の組み立てを一緒に考えてくれます。
初めて申請する方にとっては、制度の書類はなかなか手ごわいものです。
冷蔵庫の中身を見ながら、1週間分の献立を一気に考えるような大変さがあります。
そんなときに一緒に整理してくれる人がいるだけでかなり心強くなります。
相談窓口については、厚生労働省の「障害のある人に対する相談支援について」で、市町村、指定特定相談支援事業者、指定障害児相談支援事業者などが示されています。
相談先がわからない場合は、市区町村の窓口で紹介を受けられるか確認しましょう。
なお、サービス等利用計画案は相談支援事業者が作成する方法のほか、セルフプランとして提出する方法も示されています。
厚生労働省の「計画相談支援のしくみ」では、指定特定相談支援事業者以外の者が作成する計画案、いわゆるセルフプランを提出できることが示されています。
ただし、具体的な様式や提出方法は自治体によって異なるため、市区町村の担当窓口に確認してください。
障害福祉サービスの申請の流れ4:支給決定と受給者証の交付
申請内容、本人の状況、サービス等利用計画案などを踏まえ、市区町村が支給の要否を決定します。
市区町村が支給の要否を決定したあと、受給者証が交付されます。
厚生労働省の「市町村事務に関すること」でも、市町村が支給の要否を決定して通知し、受給者証を交付する流れが示されています。
受給者証は、障害福祉サービスを利用するための大切な書類です。
ただし、受給者証が届いたら自動的にすぐサービスが始まる、というわけではありません。
実際に利用するには、サービス事業所との契約が必要です。
事業所の空き状況によっては、希望する曜日や時間に利用できない場合もあります。
ここは、読者の方にぜひ知っておいてほしいポイントです。
受給者証は、いわば「利用できる条件が整ったことを示すもの」です。
けれど、実際の利用には「どの事業所で、いつ、どのように使うか」という調整が必要です。
イベントのチケットを持っていても、座席や時間を確認する必要があるのと少し似ています。

障害福祉サービスの申請の流れ5:事業所と契約して利用開始する
支給決定後は、本人、家族、相談支援専門員、利用予定の事業所などで、支援内容を確認するサービス担当者会議が行われる流れが示されています。
厚生労働省の「計画相談支援のしくみ」でも、支給決定後のサービス担当者会議、サービス等利用計画、サービス利用という流れが示されています。
ここでは、本人の希望、困っていること、体調面で配慮してほしいこと、家族が不安に感じていること、緊急時の連絡方法などを確認します。
「会議」と聞くと、少し身構えてしまうかもしれません。
でも、難しい言葉で話す必要はありません。
「こういう時に困ります」「これは苦手です」「ここは手伝ってもらえると助かります」
そんな日常の言葉で大丈夫です。
この場は、本人を中心に、関係者が同じ方向を向くための時間です。
その後、正式なサービス等利用計画が整えられ、事業所との契約を経て、サービス利用が始まります。
障害福祉サービスの費用はどうなる?
障害福祉サービスの自己負担には、所得に応じた月ごとの負担上限があります。
厚生労働省の「障害者の利用者負担」では、障害福祉サービスの自己負担について、所得に応じた4区分の負担上限月額が設定され、ひと月に利用したサービス量にかかわらず、それ以上の負担は生じないと説明されています。
2026年5月7日時点で同ページに掲載されている負担上限月額は、生活保護世帯が0円、低所得の市町村民税非課税世帯が0円、一般1が9,300円、一般2が37,200円です。
ただし、一般1には条件があり、20歳以上の入所施設利用者やグループホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合「一般2」とされます。
また、食費、光熱水費、家賃などの実費は、サービス利用料とは別に確認が必要です。
日用品費など、事業所ごとに別途必要となる費用があるかどうかも、契約前に確認してください。
厚生労働省の同ページでも、食費等の実費負担や、グループホーム利用者への家賃助成について説明されています。
「自己負担上限があるから、全部その金額に収まる」と思い込むと、あとで困ることがあります。
契約前に、事業所へ「毎月の実費は何が、いくらくらいかかりますか」と確認しておきましょう。
ここを聞くのは、まったく失礼ではありません。むしろ、とても大切な確認です。

緊急時に備えるなら、早めの相談が大切
短期入所などは、家族の急病や介護負担が大きくなったときに相談対象となることがあります。
ただし、今回確認した厚生労働省の情報だけでは、「受給者証がない状態でも緊急時に必ず障害福祉サービスを利用できる」と一般化できる根拠は確認できませんでした。
そのため、この記事では「緊急時は必ずすぐ使える」とは書きません。
正確に言うなら、緊急時に備えたい方ほど、平時のうちに市区町村の障害福祉担当窓口や相談支援の窓口へ相談し、利用できるサービスや地域の支援体制を確認しておくことが大切です。
なお、厚生労働省の「障害のある人に対する相談支援について」では、地域定着支援について、緊急時の支援が見込めない状況にある障害者に対し、常時の連絡体制を確保し、緊急の事態等に相談その他必要な支援を行うものと説明されています。
ただし、これは誰でも直ちに使えるという意味ではありません。
対象者や給付決定の要件があります。詳しくは、市区町村へ相談してください。
いざという時に「どこへ相談すればいいのか」がわかっているだけで、心の負担はかなり変わります。
障害福祉サービスの申請の流れで押さえたいポイント
・障害福祉サービスは、市区町村への相談・申請から始まる
・障害福祉サービスには、介護給付と訓練等給付がある
・障害のある人の障害程度や、社会活動、介護者、居住などの状況を踏まえて、個別に支給決定が行われる
・障害者総合支援法の対象疾病に該当する難病等の方も、申請後に必要と認められた場合、障害福祉サービス等を利用できる
・難病等の対象疾病に該当する方は、障害者手帳を持っていなくても、必要と認められた支援を受けられると案内されている
・対象疾病、必要書類、利用できるサービスは個別確認が必要
・サービスによっては、障害支援区分の認定が必要になる
・訓練系・就労系サービス等は、障害支援区分の認定を受ける必要はない
・障害支援区分は、認定調査や医師意見書、市町村審査会などを経て判断される
・障害者総合支援法に基づくサービスを利用する際には、サービス等利用計画が必要
・サービス等利用計画案は、相談支援事業者が作成する方法のほか、セルフプランとして提出する方法もある
・支給決定後、受給者証が交付される
・受給者証があっても、事業所との契約や空き状況の確認が必要
・利用者負担には所得に応じた月額上限がある
・一般1には条件があり、20歳以上の入所施設利用者やグループホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合「一般2」とされる
・食費、光熱水費、家賃などの実費は別に確認が必要
・日用品費など、事業所ごとに別途必要となる費用があるかどうかも確認する
・申請から利用開始までの期間は、全国一律ではなく、自治体やサービス内容、調査の有無によって変わる
・緊急時に必ず利用できるとは断定できないため、平時から相談しておくことが大切

まとめ|障害福祉サービスの申請の流れは、まず相談から始めよう
障害福祉サービスは、生活の困りごとを支えてくれる大切な制度です。
でも、最初から制度のすべてを理解しようとすると、少ししんどくなってしまいます。
介護給付、訓練等給付、障害支援区分、サービス等利用計画、受給者証。
言葉だけを見ると、まるで制度の森に迷い込んだような気持ちになるかもしれません。
けれど、最初にやることはとてもシンプルです。
市区町村の窓口で「障害福祉サービスを利用したいです」「今こういうことで困っています」と相談すること。
そこから、必要な手続きや書類、調査、計画作成へと進んでいきます。
大切なのは、困りごとが限界になるまで我慢しないことです。
「まだ相談するほどではないかも」「こんなことで聞いていいのかな」
そう思う段階で相談して大丈夫です。
むしろ、その段階で相談するからこそ、選択肢を落ち着いて確認できます。
障害福祉サービスは本人や家族の暮らしを支えるための制度です。
不安をひとりで抱え込まず、まずは市区町村の窓口や相談支援の窓口に、今の困りごとを言葉にしてみてください。
その一歩が、これからの生活を少し軽くするきっかけになります。
参考URL
厚生労働省「サービスの利用手続き」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/service/riyou.html
厚生労働省「障害福祉サービスについて」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/naiyou.html
厚生労働省「障害者総合支援法の対象疾病(難病等)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/hani/index.html
厚生労働省「障害者総合支援法の対象となる難病が追加されます」
https://www.mhlw.go.jp/content/001398603.pdf
厚生労働省「障害支援区分」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/kubun/index.html
厚生労働省「計画相談支援のしくみ」
https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/000707198.pdf
厚生労働省「障害のある人に対する相談支援について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/soudan_shien.html
厚生労働省「市町村事務に関すること」
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/syakai/sienhi/jimu/jimu02.html
厚生労働省「障害者の利用者負担」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/hutan1.html