「褥瘡って、結局なにが原因でできるの?」
介護や看護に関わっていると、そんな疑問にぶつかることがありますよね。
体位変換、マットレス、栄養、スキンケア。
どれも大切だとわかっていても、土台の仕組みがあいまいなままだと毎日のケアがつながりにくく感じることがあります。
今回のテーマは、褥瘡発生のメカニズムです。
まず結論からお伝えすると、褥瘡は同じ場所が圧迫され続けることで血流が悪くなったり滞ったりし、皮膚やその下の組織が傷つくことで起こります。
一般的には「床ずれ」とも呼ばれます。
※なお、本記事は2026年4月23日時点で公開されている情報をもとに作成しています。最新版として「褥瘡予防・管理ガイドライン 第5版」が確認できますが、2026年4月時点では本文は掲載準備中です。そのため、この記事は公開されている情報で確認できる内容に限定して記載しています。

目次
- 褥瘡発生のメカニズムとは?
- 褥瘡の原因は圧迫だけではありません
- 褥瘡 できやすい場所はどう考える?
- 表面だけではわからないこともあります
- 体位変換 褥瘡予防の基本|時間の目安は?
- 体位変換は回数だけでなく、やり方も大切です
- 体圧分散寝具は大切ですが、それだけで選べるわけではありません
- 褥瘡の予防では栄養とスキンケアも外せません
- 初期サインはどう見る?赤みが続くときは相談を
- 今回のポイントを箇条書きで整理します
- 褥瘡の発生メカニズムを知ると、ケアの見え方が変わります
褥瘡発生のメカニズムとは?
褥瘡発生のメカニズムを理解するうえで大切なのは、「長く寝ているとできる」という単純な話ではない、という点です。
私たちは通常、寝返りやお尻を浮かせる動きによって、同じ部位に長時間圧迫が加わらないようにしています。
反対に自分で体位変換ができない場合は、圧迫された皮膚の細胞に十分な酸素や栄養が行き渡らなくなり、これにより褥瘡ができるとされています。
褥瘡の原因の中心にあるのは、圧迫による血流低下です。
褥瘡の原因は圧迫だけではありません
日本褥瘡学会では、自分で体位変換ができず長期間寝たきりで、栄養状態が悪く、皮膚が弱くなっている人に圧迫だけでなく摩擦やずれなどの刺激が繰り返される場合、褥瘡になりやすいと説明されています。
つまり、ひとつの要因だけで決まるのではなく、いくつかの条件が重なるとリスクが高まりやすい、という理解が正確です。
たとえば「自分で動きにくい」「皮膚が弱っている」「栄養状態が落ちている」「摩擦やずれが繰り返される」といった条件が重なると褥瘡は起こりやすくなります。
ここは必要以上に不安を強めるためではなく、予防の視点を持つために押さえておきたいところです。
なお、日本褥瘡学会の同ページでは褥瘡になりやすいため注意しなければならない病気として、うっ血性心不全、骨盤骨折、脊髄損傷、糖尿病、脳血管疾患、慢性閉塞性肺疾患も挙げられています。
これらは学会ページで注意が必要な病気として示されているもので、その病気があるだけで褥瘡になると断定する意味ではありません。

褥瘡 できやすい場所はどう考える?
「褥瘡はどこにできやすいの?」という疑問はとても自然です。
日本褥瘡学会では、骨が突き出した部位は強く圧迫されて褥瘡ができやすいと説明されています。
また、褥瘡のできやすい部位は寝ているからだの向きや姿勢によって違ってくるとも示されています。
つまり、「この場所だけ見ればよい」とは言えません。
骨の突出した部位を中心にその人の姿勢に応じて観察することが大切です。
表面だけではわからないこともあります
褥瘡発生のメカニズムで見落としたくないのが、表面だけで判断しないことです。
日本褥瘡学会では、皮膚の表面だけでなく、皮膚の中にある骨に近い組織が傷ついている場合もあると説明されています。
見た目の変化が小さくても内部にダメージが及んでいる可能性があるため、「表面が少し赤いだけ」と軽く見ないことが大切です。
体位変換 褥瘡予防の基本|時間の目安は?
褥瘡予防で多くの方が気になるのが、体位変換の間隔です。
日本褥瘡学会では、体位変換は基本的に2時間を超えない範囲で行うと案内されています。
また、粘弾性フォームマットレスや上敷二層式エアマットレスなどを使用する場合には、体位変換の間隔は4時間を超えない範囲で行ってもよいとされています。
ただし、褥瘡予防マットの種類や骨の突き出し具合によって個人差があるとも示されています。
ですので、「全員が必ず2時間」「このマットなら必ず4時間」と固定的に考えるのは正確ではありません。
目安は持ちつつ、その人の状態や使っている寝具に合わせて判断することが大切です。

体位変換は回数だけでなく、やり方も大切です
日本褥瘡学会では、方法のひとつとして30度側臥位が紹介されていますが「30度」は個人差があるため、あくまで目安とされています。
また、体位変換のときはベッドからの転落や摩擦・ずれをなくすため、できれば2人で行い、1人で行う場合は体の部分を少しずつ移動させること、スライディングシートなどを利用する方法もあると説明されています。
つまり、向きを変えること自体が目的ではなく、圧迫に加えて摩擦やずれをできるだけ減らしながら姿勢を整えることが大切です。
褥瘡発生のメカニズムを知ると、体位変換は「回数」だけでなく「方法」も大事だとわかります。
体圧分散寝具は大切ですが、それだけで選べるわけではありません
「マットレスを変えれば安心ですか?」という声は少なくありません。
日本褥瘡学会では、体圧分散寝具の目的は、「沈み込み」や「包み込み」により突出部の圧力を低くすること、また「接触部位を変える」ことによって接触圧を低くすることだと説明されています。
そして、体圧分散寝具を使用することにより、褥瘡発生率を低下させることが可能とされています。
その一方で、体圧分散寝具の種類は、対象者の褥瘡発生リスク、好み、ケア環境なども考慮に入れて選択するとされています。
特に自力で体位変換ができない人には、圧切替型エアマットレスの使用が勧められています。
また、日本の高齢者では、活動性の低下や皮膚のたるみ、骨の突出なども考慮し、自力でどの程度動けるか、骨の突出具合などを踏まえて選択すると案内されています。
寝具は大切ですが、日本褥瘡学会では、褥瘡発生リスク、本人の好み、ケア環境、自力でどの程度動けるか、骨の突出具合などを考慮して選択するとされています。

褥瘡の予防では栄養とスキンケアも外せません
褥瘡発生のメカニズムを考えると圧迫に目が向きやすいのですが、日本褥瘡学会では、褥瘡予防の栄養管理の基本は低栄養の回避・改善とされています。
食事摂取量や体重減少などに注意しながら、必要に応じて栄養状態を見直すことが大切です。
栄養補給の具体的な方法については、病気の状態や食べられる量によって異なるため、自己判断せず、医師や管理栄養士などの専門職と相談して進めるのが安全です。
また、日本褥瘡学会では、尿や便失禁による湿潤があると皮膚トラブルから褥瘡発生につながりやすく、洗浄後に皮膚保護のためのクリームなどを塗布することが勧められています。
さらに、皮膚を強くこすらず、やさしく丁寧に洗うことが大切だと説明されています。
毎日のケアの中で皮膚を守ることと栄養状態を整えることは、褥瘡予防の重要な要素です。
初期サインはどう見る?赤みが続くときは相談を
日本褥瘡学会では、赤くなっている部分を軽く約3秒圧迫し、白っぽく変化するかどうかを確認する「指押し法」が紹介されています。
押したときに白く変化し、離すと再び赤くなるものは褥瘡ではなく、押しても赤みが消えない場合は初期の褥瘡と考えると説明されています。
ただし、これはあくまで参考になる見方であって、自己判断だけで確定できるという意味ではありません。
日本褥瘡学会では、圧迫をとっても赤みが続き、指押し法などで褥瘡の可能性があると考えられた場合は、医師または看護師に相談するのがよいと案内されています。
赤みが続く場合や判断に迷う場合は、早めに医療職へつなぐことが大切です。

今回のポイントを箇条書きで整理します
・褥瘡は圧迫による血流低下や停滞によって起こります。
・自分で体位変換ができない人は褥瘡リスクが高くなります。
・自分で体位変換ができず長期間寝たきりで、栄養状態が悪く、皮膚が弱くなっている人に圧迫だけでなく摩擦やずれなどの刺激が繰り返される場合、褥瘡になりやすいとされています。
・骨が突き出した部位は強く圧迫されやすく、褥瘡ができやすいとされています。
・褥瘡のできやすい部位は、寝ている向きや姿勢によって変わります。
・体位変換は、日本褥瘡学会の一般向けページでは基本的に2時間を超えない範囲が目安です。
・一部の体圧分散寝具では、4時間を超えない範囲で行ってもよいとされています。
・ただし、体位変換の間隔や寝具の選択には個人差があります。
・栄養管理とスキンケアも、褥瘡予防の重要な要素です。
・赤みが続く場合や判断に迷う場合は、医師または看護師に相談することが勧められます。
褥瘡発生のメカニズムを知ると、ケアの見え方が変わります
褥瘡は同じ場所への圧迫が続くことで血流が悪くなったり滞ったりし、皮膚やその下の組織が傷つくことで起こります。
さらに日本褥瘡学会では、自分で体位変換ができないこと、栄養状態が悪いこと、皮膚が弱くなっていること、摩擦やずれなどの刺激が繰り返されることが重なると、褥瘡になりやすいと説明されています。
また、日本褥瘡学会の一般向けページを見ると、褥瘡予防では同じ場所への長時間の圧迫を避けること、皮膚を保護すること、低栄養を回避・改善することが重要だと確認できます。
毎日のケアで迷ったときは、この基本に立ち戻って確認していくことが大切です。
ひとつずつで大丈夫です。
褥瘡 発生 メカニズムを正しく知ることで、日々の観察やケアの迷いは少しずつ減っていきます。
この記事が目の前のケアを落ち着いて見直すきっかけになればうれしいです。
参照元
・日本褥瘡学会「褥瘡について」
https://www.jspu.org/general/about/
・日本褥瘡学会「褥瘡の予防について」
https://www.jspu.org/general/prevention/
・Minds「褥瘡予防・管理ガイドライン 第5版」
https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00726/